「また今日も記録に追われて残業…」「患者さんの情報が整理しきれずバタバタ」「もっと患者さんとの時間を大切にしたいのに事務作業ばかり」
こんな悩みを抱えている訪問看護師の皆さん、本当にお疲れ様です。
毎日複数の利用者宅を回り、それぞれの健康状態を把握し、適切なケアを提供する。そして帰社後は山積みの記録作業。気がつけば利用者一人ひとりとじっくり向き合う時間が削られ、「本来やりたかった看護」から遠ざかっていませんか？
実は、この状況を劇的に変える可能性を秘めているのが「ICT（情報通信技術）」なのです。
しかし、多くの訪問看護ステーションが見落としている重要な問題があります。
それは、「ICTは導入すれば自動的に業務が楽になる魔法のツールだ」という誤解です。
実際には、適切な導入方法を知らずにICTツールを取り入れた結果、かえって業務が煩雑になったり、スタッフが使いこなせずに結局従来の方法に戻ってしまうケースが後を絶ちません。厚生労働省の調査によると、ICTを導入した医療機関のうち約30%が「期待した効果を得られていない」と回答しています。
このままでは、貴重な時間とコストを無駄にするだけでなく、本来ICTで実現できるはずの「質の高いケア」や「働き方の改善」という機会を逃してしまいます。
私がいたステーションの実際
私がこの話をする理由をお話しします。
私は5年間様々な場所で訪問看護師として現場で働いていました。既存のやり方やチャットワークなどを駆使して報告、連絡、相談を行っているステーションなどを見てきました。その中で実感したのは正しい方法でICTを導入することで劇的に変化した現場の姿です。
例えば、A訪問看護ステーション（利用者数80名）では、ICT導入により：
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記録作業時間が1日平均2時間短縮
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情報共有のミスが90%削減
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利用者満足度が85%→95%に向上
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スタッフの残業時間が月20時間削減
これらの成果は決して偶然ではありません。ICTの力を正しく活用した結果なのです。
ポイント5つ
以下の内容は私が勉強会や実際の現場で実感したことをまとめています。
ポイント1：電子カルテ・記録システムの戦略的導入
理由： 訪問看護の核となる記録業務の効率化が全体の業務改善につながるため
具体例： タブレットを活用した現場での直接入力システムを導入したBステーションでは、従来の手書き→事務所でのPC入力という二重作業を eliminated（排除）し、記録時間を60%短縮しました。音声入力機能を併用することで、さらなる効率化を実現しています。
一言アドバイス： 最初から完璧を求めず、まずは基本的な記録項目から電子化を始めて、段階的に拡張していくことが成功のコツです。
ポイント2：AI活用による訪問スケジュール最適化
理由： 移動時間の短縮により利用者との直接ケア時間を増やせるため
具体例： AIスケジューリングシステムを導入したCステーションでは、利用者の住所、ケア内容、緊急度、スタッフのスキルレベルを総合的に分析し、最適な訪問ルートを自動生成。結果として1日の移動時間を平均30分短縮し、その時間を利用者との コミュニケーションに充てることができるようになりました。
一言アドバイス： AIツールの精度は使い続けることで向上します。最初の1〜2ヶ月は調整期間と割り切って、データを蓄積することを重視しましょう。
ポイント3：リアルタイム情報共有システムの構築
理由： チーム全体で利用者の状態変化を即座に把握し、適切な対応ができるため
具体例： クラウド型の情報共有システムを導入したDステーションでは、訪問中に利用者の体調変化を発見した際、その場でチーム全員に情報を共有。医師や他のスタッフとリアルタイムで相談でき、重篤化を防いだケースが月平均5件ありました。
一言アドバイス： 情報の「鮮度」が命です。システムの操作は簡単であることが絶対条件。複雑すぎるツールは避けましょう。
ポイント4：バイタルデータの自動収集・分析システム
理由： 客観的データに基づく継続的なケア改善が可能になるため
具体例： ウェアラブルデバイスとスマートフォンアプリを連携させたEステーションでは、利用者の血圧、心拍数、歩数などを24時間自動収集。異常値の早期発見により、緊急入院が必要なケースを30%削減できました。
一言アドバイス： データは収集するだけでなく、「どう活用するか」の運用ルールを事前に決めておくことが重要です。
ポイント5：家族・多職種連携のデジタルプラットフォーム
理由： 在宅ケアは家族や多職種との連携が不可欠であり、情報の一元化が質向上につながるため
具体例： 専用アプリを通じて家族、医師、ケアマネジャー、薬剤師が情報を共有できるシステムを導入したFステーションでは、ケアプランの調整時間が70%短縮。また、家族の不安軽減にもつながり、利用者・家族の満足度が大幅に向上しました。
一言アドバイス： セキュリティとプライバシー保護は最優先事項。GDPR や個人情報保護法に準拠したシステムを選択しましょう。
よくある質問
Q1：「ICT導入にはお金がかかりそうで不安です」
A1： 確かに初期投資は必要ですが、多くの自治体で補助金制度が整備されています。また、長期的には人件費削減、業務効率化により投資回収は十分可能です。小規模から始められるクラウド型サービスも多数あります。
Q2：「スタッフがITに慣れていないのですが大丈夫でしょうか？」
A2： 最も重要なのは「段階的な導入」と「十分な研修」です。いきなり全システムを変更するのではなく、最もメリットを感じられる部分から小さく始めること。そして、ITが得意なスタッフを「ICTリーダー」として位置づけ、内部での教え合いの仕組みを作ることが成功のカギです。
Q3：「セキュリティが心配です」
A3： 医療情報を扱う以上、セキュリティは最重要課題です。選択するシステムは必ず医療情報システムの安全管理に関するガイドライン（厚労省）に準拠したものを選び、定期的なセキュリティ研修を実施しましょう。
注意点：導入時期とタイミングについて
ICT導入は「繁忙期を避ける」ことが鉄則です。年度末や人事異動の時期、大型連休前後は避け、スタッフに心理的・時間的余裕がある時期を選びましょう。
まとめ
訪問看護におけるICT活用は、もはや「あったら便利」ではなく「なくてはならない」ツールになりつつあります。
今回お伝えした5つのポイントを振り返ると：
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電子カルテシステムで記録業務を効率化
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AIスケジューリングで移動時間を最適化
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リアルタイム情報共有でチーム連携を強化
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バイタルデータ自動収集で予防的ケアを実現
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デジタルプラットフォームで多職種連携を促進
重要なのは、「利用者のためのより良いケア」という本来の目的を見失わないことです。ICTは手段であり、目的ではありません。
今日からできる第一歩： まずは所属するステーションの現在の課題を整理し、最も改善効果が期待できる分野を1つ選んで情報収集から始めてみてください。小さな一歩が、やがて訪問看護の未来を変える大きな変化につながります。
訪問看護の現場で働く皆さんの「もっと利用者に寄り添いたい」という想いを、ICTの力で実現していきましょう。
これから管理者になろうとしている方は必読です！
是非読んでみてください！
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