「訪問看護に興味はあるけど、医療保険のことがよく分からなくて踏み出せない…」
「病棟では意識したことがなかった医療保険制度、訪問看護では必須って聞いて不安になってる」
「利用者さんから保険のことを聞かれたらどう答えればいいの?」
そんな悩みを抱えている看護師さん、実はとても多いんです。私も訪問看護を始める前は同じような不安を抱えていました。病棟では医事課が処理してくれていた保険の話が、訪問看護では看護師が直接関わる場面が多く、「これで本当に大丈夫?」と不安になる気持ち、とてもよく分かります。
しかし、この医療保険制度への理解不足、実は思っている以上に大きな問題を引き起こす可能性があります。
利用者さんやご家族から保険に関する質問を受けた時、曖昧な答えしかできないと信頼関係に影響することも。また、間違った情報を伝えてしまうと、利用者さんの経済的負担に直結してしまいます。
さらに、医療保険制度を理解していないと、適切なケアプランの提案ができず、利用者さんにとって最適なサービスを提供できない可能性があります。「知らなかった」では済まされない場面が、訪問看護では意外と多いのが現実です。
私の実体験から
私は病棟経験5年を経て、現在訪問看護ステーションで5年間勤務しています。最初の頃は医療保険制度について本当に無知で、利用者さんから「この処置は保険適用になるの?」と聞かれて答えられず、恥ずかしい思いをしたことも数え切れません。
しかし、現在では月平均100件以上の訪問を担当し、医療保険に関する利用者さんからの相談にも自信を持って対応できるようになりました。同じ悩みを持つ後輩たちにも指導する立場となり、「医療保険制度は難しくない」ということを実感しています。
厚生労働省の調査によると、訪問看護を利用する約6割の方が医療保険を利用しており、残り4割が介護保険を利用しています。つまり、医療保険制度の理解は訪問看護師にとって必須のスキルなのです。
ポイント5選
ポイント1:医療保険と介護保険の使い分けを理解しよう
理由: 訪問看護では、利用者さんの年齢や疾患によって適用される保険が変わります。この基本を押さえることで、適切なサービス提供の土台ができます。
具体例:
-
65歳未満:原則医療保険
-
65歳以上:原則介護保険(ただし、がんや神経難病等の厚生労働大臣が定める疾病は医療保険優先)
-
40-64歳の特定疾病:介護保険が適用される場合もある
一言アドバイス: 「年齢+疾患」の組み合わせで考える癖をつけると、判断に迷うことが少なくなります。
ポイント2:医療保険での訪問回数・時間の制限を把握しよう
理由: 医療保険には訪問回数や時間の制限があり、これを理解していないと利用者さんに適切なケアプランを提案できません。
具体例:
-
週3回まで(特別な場合は毎日可能)
-
1回30分〜1時間30分
-
特別指示書があれば14日間毎日訪問可能
一言アドバイス: 制限があることで「足りない」と感じるかもしれませんが、集中的で質の高いケアを提供することで、利用者さんの満足度は十分に得られます。
ポイント3:自己負担割合の仕組みを正しく理解しよう
理由: 利用者さんの経済的負担に直結する部分で、間違った情報を伝えると大きなトラブルになる可能性があります。
具体例:
-
一般的には1〜3割負担
-
高額療養費制度の適用あり
-
年収によって負担割合が決まる
一言アドバイス: 「詳しくは医事課や市町村の窓口で確認してください」という一言を添えることで、責任の所在を明確にしつつ、利用者さんに適切な案内ができます。
ポイント4:特別指示書と訪問看護指示書の違いを理解しよう
理由: 医師からの指示書の種類によって、提供できるサービスの内容や期間が変わるため、正しく理解することが重要です。
具体例:
-
訪問看護指示書:通常の訪問看護(週3回まで)
-
特別指示書:急性増悪時等の集中的な訪問看護(14日間毎日可能)
一言アドバイス: どちらの指示書でサービスを提供しているかを常に意識することで、適切な回数・内容でのケア提供ができます。
ポイント5:レセプト(診療報酬明細書)の基本を知ろう
理由: 訪問看護師も記録の内容がレセプトに影響することを理解していると、より適切な記録が書けるようになります。
具体例:
-
訪問看護記録書の内容がレセプトに反映される
-
処置の内容や時間、利用者さんの状態変化などが重要
-
不適切な記録は査定(減点)の対象となる可能性
一言アドバイス: 「なぜこの処置が必要だったのか」「どのような効果があったのか」を記録に残す習慣をつけると、自然とレセプトを意識した記録が書けるようになります。
よくある質問
Q. 医療保険の知識がなくても訪問看護はできますか? A. 基本的な知識は必要ですが、最初から完璧である必要はありません。先輩や事務スタッフからサポートを受けながら、実践を通じて覚えていけば大丈夫です。
Q. 利用者さんから保険のことを質問されて答えられなかったらどうしますか? A. 「確認してから回答します」と素直に伝えることが重要です。曖昧な回答をするより、正確な情報を後日提供する方が信頼関係構築につながります。
Q. 病棟経験しかない私でも訪問看護で通用しますか? A. 病棟での看護技術や知識は訪問看護でも十分活かせます。医療保険の知識は新たに学ぶ必要がありますが、基本を押さえれば決して難しくありません。
注意点:
-
保険制度は定期的に改定されるため、最新情報を確認する習慣をつけましょう
-
不明な点は必ず事務スタッフや先輩に確認し、憶測で答えないようにしましょう
-
利用者さんの経済状況に配慮した言葉選びを心がけましょう
-
まとめ
訪問看護における医療保険制度、いかがでしたでしょうか。
重要なポイントを再確認すると:
-
医療保険と介護保険の使い分け
-
訪問回数・時間の制限
-
自己負担割合の仕組み
-
指示書の種類と違い
-
レセプトの基本
これらの基礎知識があれば、訪問看護の現場で十分対応できます。完璧を目指す必要はありません。分からないことがあれば素直に「確認します」と言える姿勢こそが、利用者さんとの信頼関係構築の第一歩です。
訪問看護は利用者さんの生活に寄り添える、とてもやりがいのある仕事です。医療保険制度への不安で一歩を踏み出せずにいるなら、まずは基本から始めてみませんか。あなたの看護師としてのスキルと経験は、きっと訪問看護の現場で活かされるはずです。
不安を感じているのはあなただけではありません。一歩ずつ、着実に学んでいけば、必ず自信を持って訪問看護師として活躍できる日が来ますよ。
訪問看護師の中堅の方でも初心に戻って読んでもらいたい1冊!
具体的な表現でとてもわかりやすいです。
是非ともご購読を!
コメント