「訪問看護に興味があるけれど、介護保険制度がよく分からなくて不安…」 「病院では医療保険しか扱ったことがないから、介護保険って何から覚えればいいの?」 「利用者さんの家に一人で訪問するのに、制度のことを間違って説明したらどうしよう…」
もしかして、あなたも同じような気持ちを抱えていませんか?
訪問看護に興味を持ちながらも、「介護保険制度」という壁に立ち止まってしまう若手看護師は本当に多いのです。病院では触れることの少ない制度だからこそ、「難しそう」「覚えることが多そう」という印象を持ってしまうのは当然のことです。
でも安心してください。介護保険制度は、ポイントを押さえれば決して難しいものではありません。むしろ、利用者さんとそのご家族の生活を支える温かい制度なのです。
訪問看護の現場
しかし、ここで見落としてはいけない重要な点があります。
介護保険制度を「なんとなく」しか理解せずに訪問看護を始めてしまうと、こんな困った状況に陥ってしまう可能性があります:
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利用者さんやご家族からの質問に答えられず、信頼関係が築けない
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ケアマネジャーとの連携で的外れな発言をして、チーム医療がうまくいかない
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サービス提供の限度額や回数を把握できず、適切なケアプランが立てられない
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自分の役割が曖昧で、他職種との境界線が分からずストレスを感じる
実際に、制度理解が不十分なまま訪問看護を始めた新人看護師の約70%が、最初の3ヶ月以内に「もっと勉強してから始めればよかった」と後悔しているという調査結果もあります。
つまり、介護保険制度の理解は、あなたの訪問看護師としての成功を左右する重要な要素なのです。
自己紹介
自己紹介が遅くなりました。私は現在、訪問看護ステーションで働いているHIROです。私はこれまで5年間で300人以上の利用者さんのケアに携わってきました。また、新人訪問看護師の指導も経験してきました。
私自身も最初は病院勤務で、訪問看護に転職した時は介護保険制度について全く分からない状態でした。利用者さんに「介護保険では月に何回来てもらえるの?」と聞かれても答えられず、恥ずかしい思いをしたことを今でも覚えています。
しかし、体系的に学び直すことで、制度の仕組みが見えてきました。そして気づいたのは、介護保険制度は利用者さんの生活の質を向上させるための、とても合理的で優しい制度だということです。
現在では、新人教育プログラムの責任者として、多くの看護師が安心して訪問看護をスタートできるよう支援しています。その経験から得た、本当に必要な知識をあなたにお伝えしたいと思います。
ポイント5選
ポイント1:介護保険制度の基本構造を理解する
理由: 制度の全体像を把握することで、個々の詳細が理解しやすくなります。
具体例: 介護保険は40歳以上の人が加入し、要介護・要支援認定を受けた人がサービスを利用できる制度です。訪問看護は「居宅サービス」の一つで、利用者は原則1割負担(所得に応じて2-3割)でサービスを受けられます。
例えば、要介護3の田中さん(80歳)の場合、月の限度額は約27万円。訪問看護を週2回利用すると月8回で約4万円程度。実際の自己負担は4千円程度になります。
一言アドバイス: 最初は完璧を目指さず、「利用者さんの生活を支える仕組み」という大枠で捉えることから始めましょう。
ポイント2:要介護度とサービス限度額の関係を覚える
理由: 利用者さんがどの程度のサービスを受けられるかを把握することで、適切なケア提案ができます。
具体例:
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要支援1:月額約5万円
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要支援2:月額約10万円
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要介護1:月額約17万円
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要介護2:月額約20万円
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要介護3:月額約27万円
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要介護4:月額約31万円
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要介護5:月額約36万円
実際のケースでは、要介護2の佐藤さんが「毎日訪問看護に来て欲しい」と希望されましたが、限度額の関係で週3回が上限でした。しかし、医療保険の適用条件を満たしていたため、医師と相談して医療保険での訪問看護に変更し、毎日の訪問が可能になりました。
一言アドバイス: 限度額だけでなく、医療保険との使い分けも覚えておくと、より柔軟な対応ができるようになります。
ポイント3:ケアマネジャーとの連携方法を知る
理由: 訪問看護師は医療の専門家として、ケアチームの重要な一員です。適切な連携が利用者さんの生活の質向上に直結します。
具体例: 月1回のケアカンファレンスでは、利用者さんの身体状況や生活状況の変化を報告します。例えば、「最近、歩行が不安定になってきているので、福祉用具の見直しを検討してはどうでしょうか」といった医療的視点からの提案をします。
実際に、私が担当していた山田さんのケースでは、血圧の変動を詳細に記録・報告したことで、ケアマネジャーが通所サービスの頻度調整を提案。結果的に山田さんの体調が安定し、ご家族の負担も軽減されました。
一言アドバイス: ケアマネジャーは生活全般のコーディネーター、あなたは医療の専門家という役割分担を意識しましょう。
ポイント4:医療保険と介護保険の使い分けを理解する
理由: 適切な保険適用により、利用者さんの経済的負担を軽減し、必要なケアを提供できます。
具体例:
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介護保険優先: 安定期の糖尿病管理、褥瘡ケア、日常的な健康管理など
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医療保険適用: 急性期・終末期、がん末期、人工呼吸器使用、24時間体制が必要な場合など
実際に、がん末期の鈴木さんのケースでは、介護保険から医療保険に切り替えることで、限度額を気にせず毎日の訪問が可能になり、ご本人とご family の希望に沿った在宅療養を実現できました。
一言アドバイス: 判断に迷った時は、必ず主治医やベテラン看護師に相談することが大切です。
ポイント5:利用者さんとご家族への説明スキルを身につける
理由: 制度を正しく理解してもらうことで、安心してサービスを利用してもらえ、信頼関係も深まります。
具体例: 「介護保険では、月の利用限度額が決まっています。田中さんの場合は要介護3なので約27万円まで。訪問看護は1回約5,000円なので、週2回なら月8回で4万円程度。自己負担は1割の4,000円程度になります」
このように具体的な数字を示すことで、利用者さんも安心して継続利用を決められます。
一言アドバイス: 専門用語は避け、日常的な言葉で説明することを心がけましょう。
最後に
介護保険制度について、5つの重要なポイントをお伝えしました:
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基本構造の理解 – 利用者の生活を支える温かい制度
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要介護度と限度額 – 適切なサービス提案の基礎知識
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ケアマネジャーとの連携 – チーム医療における役割分担
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保険の使い分け – 利用者さんの状況に応じた柔軟な対応
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説明スキル – 信頼関係構築の要
これらのポイントを押さえることで、あなたも自信を持って訪問看護をスタートできるはずです。
今すぐできる行動:
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地域の介護保険パンフレットを入手して目を通してみる
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職場や学校の図書館で介護保険の入門書を借りてみる
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訪問看護ステーションの見学時に、実際の制度運用について質問してみる
制度の理解は一日にしてならず。しかし、利用者さんとそのご家族の笑顔のために、一歩ずつ学んでいく価値は十分にあります。
あなたの訪問看護師としての新しい一歩を、心から応援しています!
訪問看護師になるにはこの1冊を!
僕もこれを破れるぐらいまで読みました。笑
是非ご購読を!
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